四角い顔で正直そうな工務店オヤジ風という初対面の印象が、当時の私たちにとってはなんとも頼もしく思えた。岡部材木の作業場には、国産材の中でも銘木として名高い吉野杉の尺角の角材が、3メートルほどの高さまで積み上げられていた。尺角というのは、断面が一尺(30・303センチメートル)の正方形の材木。きめ細かな年輪から見て、200年は経っている立派な吉野杉の角材は、数多い材木の中でもひときわ目を引き、堂々と異彩を放っていた。
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パンパンと力任せに叩いても、ビクともしない。この木が、もしかしたら我が家の柱になるかもしれないと思うと、それだけで、うれしいような分不相応のような、身が引き締まる思いがした。そう、この時までは、確かに私たちの頭の中には、クリの木の“ク”の字も無かった。というより、高貴ささえ感じさせる200年ものの吉野杉を見た途端に、この木で我が家を建てたいという思いで、背中がゾクゾクし、頭も胸もいっぱいになったというの、が正直なところだ。